名取・閖上地区の土地区画整理認可 17年度完了目指す
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宮城県名取市閖上地区の復興計画で、県は22日、土地区画整理事業の認可書を市に交付した。集団移転事業併用による現地再建を基本とする計画が、震災から2年8カ月を経てようやく動きだす。総事業費186億円で、2017年度完了を目指す。
大友政基・市震災復興部長が県庁を訪れ、県都市計画課の担当者から認可書を受け取った。現状では予算の裏付けがないため、市は来年1月に第8次復興交付金を申請した後、用地買収などの実質手続きに入る方針。
事業認可までの経過や今後のスケジュールなどについての住民説明会を、12月上旬に開く。
区画整理は貞山堀の西側約57ヘクタールが対象で、うち32ヘクタールを平均3メートルかさ上げする。東隣約65ヘクタールを災害危険区域に指定して集団移転事業を行う。移転先はかさ上げ地内に設ける。計画人口2400。内陸の仙台東部道路西側には約100戸の災害公営住宅を整備する。
現地再建を不安視する住民のため、県都市計画審議会から民意のきめ細かな把握、計画見直しの検討を求める建議と付帯意見が出された。事業推進と合意形成をどう両立させるかが問われる。
◎計画始動、佐々木市長に聞く/現地再建「将来への責任」/説明不足「大きな反省点」
宮城県名取市閖上地区の復興計画が始動するのを前に、佐々木一十郎市長は河北新報社のインタビューに応じ、現地再建を基本とする計画はまちの将来を見据えた判断との認識を強調した。(聞き手は岩沼支局・成田浩二)
-ようやく事業認可にこぎ着けた。
「長かった。被災市街地復興土地区画整理事業は、既存の区画整理の法的手続きが全部そのまま残っている。平時ならともかく、復興事業にそういう手続きが必要なのか疑問を感じた」
-現地再建にこだわり、合意形成が難航したことが一番の遅れの原因ではないか。
「どういう計画がベストなのか、逆に聞きたい。人が住まなければまちはつぶれていく。かさ上げ地盤の面積を確保しなければ、将来まちを広げられない。(移転先として要望がある)仙台東部道路付近は市街化調整区域の農村で、暮らすには不便だ。われわれは将来に責任を持ち、生き残れるまちをつくらなければならない」
-津波の恐怖が消えない人は海辺に戻るのに抵抗がある。
「気持ちや感情でまちづくりを進めるわけにはいかない。仮に被災者が代替わりしたら、何でこんな場所に家を建てたのかとならないか。まちは一代限りではない。子々孫々受け継いでいくのがまちだ。その人は住むのが怖くても、世代が代わったら考え方は変わる」
-計画に対する不安が消えないのは、市の説明不足によるところも大きいのではないか。
「安全性を伝える十分な説明ができなかったのは大きな反省点であり、われわれの責任だ。技術屋集団の限界というか、説明能力不足の問題もある。ただ、危険な場所なら誰も戻ってくれとは言わない。今の土木技術は津波の被害を避けるまちをつくることが可能だ。閖上も多重防御によって万全を期すべく知恵を絞った。安全だから国や県も計画を了解した」
-県都市計画審議会の建議と付帯意見にどう対処するのか。
「内陸移転を望む住民には個別に対応し、なるべく要望をかなえる方策を考える。ただ、計画人口2400という全体フレームに影響を与えることはできないので、内陸に新たな住宅団地を形成するなどと言える状況ではない。国、県と合意した計画の範囲内で対応せざるを得ないだろう」
大友政基・市震災復興部長が県庁を訪れ、県都市計画課の担当者から認可書を受け取った。現状では予算の裏付けがないため、市は来年1月に第8次復興交付金を申請した後、用地買収などの実質手続きに入る方針。
事業認可までの経過や今後のスケジュールなどについての住民説明会を、12月上旬に開く。
区画整理は貞山堀の西側約57ヘクタールが対象で、うち32ヘクタールを平均3メートルかさ上げする。東隣約65ヘクタールを災害危険区域に指定して集団移転事業を行う。移転先はかさ上げ地内に設ける。計画人口2400。内陸の仙台東部道路西側には約100戸の災害公営住宅を整備する。
現地再建を不安視する住民のため、県都市計画審議会から民意のきめ細かな把握、計画見直しの検討を求める建議と付帯意見が出された。事業推進と合意形成をどう両立させるかが問われる。
◎計画始動、佐々木市長に聞く/現地再建「将来への責任」/説明不足「大きな反省点」
宮城県名取市閖上地区の復興計画が始動するのを前に、佐々木一十郎市長は河北新報社のインタビューに応じ、現地再建を基本とする計画はまちの将来を見据えた判断との認識を強調した。(聞き手は岩沼支局・成田浩二)
-ようやく事業認可にこぎ着けた。
「長かった。被災市街地復興土地区画整理事業は、既存の区画整理の法的手続きが全部そのまま残っている。平時ならともかく、復興事業にそういう手続きが必要なのか疑問を感じた」
-現地再建にこだわり、合意形成が難航したことが一番の遅れの原因ではないか。
「どういう計画がベストなのか、逆に聞きたい。人が住まなければまちはつぶれていく。かさ上げ地盤の面積を確保しなければ、将来まちを広げられない。(移転先として要望がある)仙台東部道路付近は市街化調整区域の農村で、暮らすには不便だ。われわれは将来に責任を持ち、生き残れるまちをつくらなければならない」
-津波の恐怖が消えない人は海辺に戻るのに抵抗がある。
「気持ちや感情でまちづくりを進めるわけにはいかない。仮に被災者が代替わりしたら、何でこんな場所に家を建てたのかとならないか。まちは一代限りではない。子々孫々受け継いでいくのがまちだ。その人は住むのが怖くても、世代が代わったら考え方は変わる」
-計画に対する不安が消えないのは、市の説明不足によるところも大きいのではないか。
「安全性を伝える十分な説明ができなかったのは大きな反省点であり、われわれの責任だ。技術屋集団の限界というか、説明能力不足の問題もある。ただ、危険な場所なら誰も戻ってくれとは言わない。今の土木技術は津波の被害を避けるまちをつくることが可能だ。閖上も多重防御によって万全を期すべく知恵を絞った。安全だから国や県も計画を了解した」
-県都市計画審議会の建議と付帯意見にどう対処するのか。
「内陸移転を望む住民には個別に対応し、なるべく要望をかなえる方策を考える。ただ、計画人口2400という全体フレームに影響を与えることはできないので、内陸に新たな住宅団地を形成するなどと言える状況ではない。国、県と合意した計画の範囲内で対応せざるを得ないだろう」
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