一向に進まない被災地の復興。今その最大の課題が「住民合意」である。被災地各地で今、行政への住民の不信拡大、さらに住民同士が対立する事態が起きている。
震災直後、ガレキ撤去などを1ヶ月で終えるなど復興のトップランナーだった宮城県名取市。しかし町づくりの議論が始まると、復興は進まなくなった。住民の合意形成が進まず、計画を根底から見直すべきだとの声まで上がっている。さらに「現地再建」や「集団移転」など様々な主張の住民団体が結成され、分裂。市はそうした状況下で現行案にこだわり、復興に向けた話しあいは膠着してしまう可能性をはらんでいる。しかしその中でも、なんとかしたいと考える住民が現れ、「意見の違いをこえて話あいの場を持とう」という自発的な動きも出始めた。
どうしてもぶつからざるをえない利害や思い。今後は土地の権利移転を含むさらに困難な課題が待ち受けている。合意はいかにして可能になるのか。何が鍵となるのか。復興への道に立ちふさがるこの難題を、長期取材を続けてきた名取市のドキュメントを通して、考える。
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